世界遺産ノートルダム寺院の修復支援・寄付活動について、各国における動き
- ブログ担当スタッフ
- 2019年5月10日
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更新日:2019年5月11日

フランス・パリの世界遺産ノートルダム寺院(大聖堂)で発生した火災は、ショッキングな映像とともにあっという間に世界を駆け巡った。フランスの歴史や宗教の象徴的な存在である寺院の災禍は、フランス国民に大きな衝撃を与えた。フランスのカトリック信仰の中心である同寺院には貴重な文化財が多数ある。仏紙フィガロによると、寺院内にあった芸術品などのうち、火災で5~10%が被害を受けた、とのこと。そこで、フランス大統領のマクロン氏は「ノートルダム寺院をさらに美しく、再建する。今から5年以内に完成させたい。我々はできる」と語った。フランス国内のみならず各国政界・財界から多くの金銭的・物理的・精神的な支援が寄せられた。
再建に向けて早くも支援の動きがある。高級ブランドのグッチなどを持つ仏ケリングの筆頭株主ピノー家は、1億ユーロ(約125億円)の寄付を申し出た。また仏高級品グループ最大手LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンと同社株を持つアルノー一家も、再建のために2億ユーロを寄付すると発表した。またフランスへの観光客が多い米国では、NPO団体が「ノートルダム火災修復基金」を立ち上げた。ただ再建は容易ではなさそうだ。仏メディアによると、ルーブル・ノートルダム財団のエリック・フィッシャー氏は「再建に数十年かかる」との見方を示した。
国内での活動に目を向けると、同じ世界遺産をもつ富岡市は、「同じ世界遺産を持つ都市として、ひとごととは思えない。募金していただいた方の小さな積み重ねが、復旧に向けた一助になれば」との思いから富岡製糸場(富岡市)に復旧支援を呼びかける募金箱を設置した。また同じ世界文化遺産をもつ京都市の仁和寺でもノートルダム寺院の修復のための募金受付を開始しており、異宗教ではあるが、仁和寺とノートルダム寺院はともに世界文化遺産で、長い歴史を有する祈りの場であるなど共通点を持つ。募金箱の設置期限は決めていないが、集まった浄財は国連教育科学文化機関(ユネスコ)などを通じて現地に送る意向だ。
また東京新聞(2019年4月24日付)によると、世界遺産ノートルダム寺院の修復を支援しようと、日本で活動するフランス料理のシェフら7人が24日、募金活動を始めたと発表した。青森県弘前市や島根県出雲市、那覇市などのレストラン5店が既に募金箱を設置したといい、他店にも参加を呼び掛けた。発起人は、フランス政府から勲章を授与されたこともあるシェフ三国清三さん。都内の日本記者クラブで会見し、「10年近くフランスに住んだが、フランスのシェフたちがわれわれ日本人に全てを教えてくれた。恩に報い、少しでも役に立ちたい」と強調した。
また「劇団四季」においても次のような活動をしている。パリ・ノートルダム大聖堂で発生した火災につきまして、『ノートルダムの鐘』名古屋公演(名古屋四季劇場)および『パリのアメリカ人』横浜公演(KAAT 神奈川芸術劇場〈ホール〉)において、明日4月24日(水)より5月19日(日)まで「復興再建支援のための募金箱を設置」させていただくことになりました。現在、劇団四季では、同大聖堂が舞台の『ノートルダムの鐘』、そして同じくパリを舞台にした『パリのアメリカ人』を上演しております。 被災された大聖堂の皆さま、パリ市民の皆さまへの心からのお見舞いと、一日でも早い復興を祈り、劇場ロビーにてご来場者からの善意のご協力を募ります。 皆さまから頂戴したお気持ちは、文化遺産財団を通し全額寄付させていただきます、とのこと。
また東京新聞(2019年4月19日付)によると、日産自動車は19日、大火災のあったパリ中心部の世界遺産ノートルダム寺院(大聖堂)の再建のため、10万ユーロ(約1200万円)の寄付を決めたと発表している。日産は、フランス大手ルノーと企業連合を組んでいる。そのため、同国とは近い関係にあるとして「ルノー社員やフランス国民に心を寄せ、再建に貢献したいという考えに至った」と説明した。
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